App Store で活躍する一部のデベロッパは、アプリケーション事業をさらに成長させられるように、企業買収や公募増資を目標としている場合もあります。前述の調査によると、欧州と米国では、控えめに見積もっても iOS アプリケーションを事業の柱にしているソフトウェア企業75社以上が株式公開もしくは事業買収されており、これら事業の評価額は総額5100億ドル超に上ります(株式公開または事業買収時点)。
Bumbleは 2014年に、20人に満たないチームによって発表されました。そこから7年先送りした今、Bumble Inc. はその名にちなんだレディーファーストのお付き合いを標榜する Bumble、マッチングアプリケーションの Badoo の親会社となり、両アプリケーション合わせた月間アクティブユーザー数は全世界で4200万人に達します。Bumble Inc. が2021年2月に実施した IPO(新規株式公開)では22億ドルを調達しましたが、同社は、自分たちの成功は App Store および iOS 経済圏との「結び付きなしには語れない」とコメントしています。
「私たちチーム全体にとって IPO は当社の存在意義を本当に認めてもらえた瞬間でした」と、Bumble Inc. の CPO(最高プロダクト責任者)は言います。「IPO により、私たちはより多くの市場に参入して成長を加速し、私たちが常に目標としてきた使命──女性のライフスタイルのあらゆる面で安全かつ健康的で公平な関係を築き上げるというミッションを拡大できるようになりました。この種の変化を実現するには沢山の人々に到達する必要がありますが、それを可能にしてくれたのが App Store なのです」
App Store で配信されるアプリケーションごとに「成功」の形は異なります。Apple が目標とするのは、アプリケーションの舞台裏で活躍するデベロッパに、事業規模に関係なく、事業の成長をもたらすツールを提供し、Apple ユーザーに素晴らしいアプリケーション体験をお届けすることです。
デベロッパは活動拠点に関係なく世界中のユーザーとつながれる
App Storeでは、あらゆる規模のアプリケーション事業において、世界175の国・地域のユーザーにサービスを届けられていることが、前述の調査からわかりました。
中国・上海発の写真およびビデオの編集アプリケーションの
Makaronを開発しているデベロッパが Versa です。Makaron は世界173の国・地域に在住の App Store ユーザーから累計800万回もダウンロードされている人気アプリケーションです。2018年の登場以来、Makaron の評価額は172パーセント増となり、当初の5500万ドルから2020年には1億5000万ドルまで増えました。同時に、Makaron に関わるスタッフも25人から125人に増えました。
「App Store のおかげで世界中のユーザーとつながれるようになりました」と、Versa の CEO、ティアニ・カイは言います。私たちの会社は小さいので、自分たちだけで国外に進出する術を持ち得ませんでした。しかし、国外に事業展開するのに必要なツールを Apple は与えてくれるのです。例えば、トルコで事業展開するなど考えたこともありませんでしたが、App Store Analiticsを使って分析したところ、私たちはトルコに行く必要があると明確なサインで示してくれました──そして今、トルコの人たちは私たちがそこにいるのを歓迎してくれています」