2002年2月7日−アップルは本日、バイオメディカルの研究や新薬の開発に使われる、タンパク質およびDNAの配列検索を高速化するBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)ソフトウェアの画期的な方式を発表しました。Apple/Genentech BLASTは、National Center for Biotechnology Information (NCBI)の開発による一般的なバイオインフォマティックスツールである標準のBLASTの実行と比較して、最高5倍のスピードで動作します。
Apple/Genentech BLASTは、核酸の配列照合長によるホモロジーサーチのような検索パラメータに応じて、標準のNCBI BLASTより高い精度と速度を提供します。よく行われる特定の検索には、この方式をデュアル1GHz Power Mac™ G4(パワーマックジーフォー)コンピュータで使うと、クロック数でこれに相当する2GHzのPentium 4プロセッサを搭載したシステムで標準のNCBI BLASTを実行した場合に比べて、5倍以上の性能を発揮します。
「アップルとGenentech社は、バイオメディカルの研究者が研究で使用する重要なツールの性能を飛躍的に向上させました。はるかに高価なコンピュータ上で実行してきた業界標準のBLASTが、Power Mac G4のような、科学者が一般的に購入し、使用することができるコンピュータにおいて、同等かそれ以上の速度で動作することに感動し喜ばしく思います。」と、スタンフォード大学遺伝学科教授、デビッド・ボッツタイン博士は述べています。
「このプロジェクトでアップルと協力し、このような性能向上をNCBIとアップルのアドバンスト・コンピュテーション・グループ(ACG)を通じて、より広い範囲の科学者コミュニティにもたらすことができたことを嬉しく思っています。Apple/Genentech BLASTを使うことで、研究者はゲノム情報をより効率的に基礎ゲノムの研究や新薬の開発に利用することができるようになります。」と、Genentech社の研究担当上級副社長、リチャード・H・シラー氏は述べています。
Genentech社とスタンフォード大学遺伝学科との協力の下、アップルのアドバンスト・コンピュテーション・グループ(ACG)で開発されたApple/Genentech BLASTは、標準のBLASTの高速スループット版であり、より優れたアルゴリズム、高度なメモリ管理、そしてクロックサイクル当たり複数の演算処理を行うことができるVelocity Engine™(ヴェロシティエンジン)を搭載したアップルのPowerPC G4プロセッサの能力を利用しています。
アップルはこの先進のApple/Genentech BLASTを、オープンソースソフトウェアとして一般に公開しています。また今後、アップルでは、バイオメディカル業界がこの新しいソースコードを利用しやすくするために、NCBIと協力して開発を進めています。Apple/Genentech BLASTのコードとその性能の解析結果はhttp://developer.apple.com/hardware/ve/acgresearch.htmlからダウンロードすることができます。
Velocity EngineとMac OS X:究極の科学プラットフォーム
Velocity Engine搭載のPowerPC G4プロセッサとオープンソース, UNIXをベースとするMac OS Xのコアは、計算科学のための極めて生産性の高いプラットフォームを提供します。データをプリフェッチしてクロックサイクル当たり複数の浮動小数点演算を行うことができるVelocity Engineの能力は、ゲノム、タンパク質そしてDNAの配列決定プロジェクトから生ずる膨大な量の情報を迅速に解析することを可能にします。驚異の15ギガフロップ(毎秒150億回の浮動小数点演算を実行する処理速度)を実現した新しいデュアル1GHz Power Mac G4は、科学者に強力で使いやすいターンキーソリューションを提供します。UNIXのパワーとMacィのシンプルさを兼ね備えたMac OS Xを搭載したPowerMac G4により、科学者はカスタムデータ解析を行い、同じデスクトップ上で業界標準の研究ツールを使うことでコストを削減し、ワークフローを簡素化することを可能にします。